Rikka Zine vol.1にソハム・グハ「波の上の人生」共訳で参加しました

(2022-09-28 タイトルで誌名を間違えていたため訂正)

 アンソロジストやレビュワーとしてご活躍されている橋本輝幸さんの文芸誌Rikka Zine vol.1に、ソハム・グハ「波の上の人生」共訳で参加しました。

 内容や著者紹介はこちらを。

 

 最初は、訳文をいただいて私が日本語を修正する……という作業を担当するのだと思っていたのですが、よくよく考えたら英語を見ないことには日本語を修正できないんですよね。誤算でした(※私がアホなだけ)。

 そして英語での作業が一段落ついたと思った途端、今度はベンガル語の別バージョン(内容が英語版よりくわしい)が橋本さんにより発見。グハ氏の許諾のもと、英語版を元にベンガル語版から適宜内容をマージすることが決まり、白熱ベンガル語解読教室がスタートしました。

 1〜2週間くらい、仕事をしている時間と友人と飲みに行っている時間以外は、おおむねベンガル語Google翻訳で英語に直し、それを日本語に訳していました。しかし英語にきちんと直らない文が結構な頻度で出る。そうなるともう1単語ずつやったり結合名詞っぽいものをほどいてみたり活用語尾っぽいものを抜いて掛けてみたり、そういう作業を執念深くやらないといけなくて、夢にグーグル翻訳の画面が出てきました(実話)。翻訳というより写りの悪いテレビを叩いて直す作業にちかい。最後の方は、第六感で正しい意味を探っていたような気がします。

 そして、ベンガル語の訳文が私たちにできる最大限で正確になったぞ、さあ仕上げに私の本来の仕事である「エモあじを付ける」に取り掛かろう……という段階まで辿り着いたところで、私が「1ヶ月以内に3階建ての家でやっているシェアハウスを完全に解散・退去して自分も引っ越す」という事態に巻き込まれてしまい、橋本さんに仕上げの部分をお任せすることになってしまったのでした。

 ちょっとおしりは残念な感じになってしまいましたが、1ヶ月強という期間の中では最善の結果なのではないかと思っています。だってこれは、タイムリミットのギリギリまで橋本さんとスモウ、いやボクシング、もとい議論を重ねた成果ですもの。そして橋本さんのご尽力により、SF考証の方、寄稿者の皆さん、さらにはグハ氏にもご確認いただいています。それから、橋本さんのご提案により、インドやベンガル地方のことを知らない方にもスッと読めるよう、訳注もたくさんつくりました。日本語版が“カレー”について1番詳しく説明されていると思います。(頑張って解読したあとに石濱匡雄がだいたい同じレシピの通販をしていたのを発見して膝から崩折れましたが……)

 何より作品自体。この話を日本語で紹介できるのが、本当にうれしいです。

 読めばきっと、なぜ私に使命が下ったのかわかるはず。

 ぜひお確かめください。