全然本読んでない日々

 青山白雨さんの読みたい本ポストに触発されたのですが、

読みたい本 - 青と山と白と雨と

 前の仕事を辞めて以来マジで本を読んでないんですよね。通勤時間にもっと電車座りっぱなしみたいな時間があるとか、夜まで開いているドトールがあるとか、そういう感じにならないともう無理かもしれない。

 今年は3冊しか読んでないし、1つは上巻で挫折している……。

 

1冊め トーマス・ベルンハルト『アムラス』

「アムラス」は訳者の方があとがきで「あまりに難解で、ほぼ直訳のままになってしまっている部分がある」と言うほどなので仕方ないとは思うけれど、まあめちゃくちゃ読みにくく、センテンスの意味がまず取れないし全貌もあんまり見えてこない、という状態で流し読みしてしまったのだが、近親相姦とか木こりになってからのシーンがトム・オブ・フィンランド状態とか山道で裸コートの男が…など、色々気になる話でした。

「行く」の方も、一見ハチャメチャに笑えるだけの話でありながら、ヘラーと自殺した研究者はおそらく刑法175条の関係にあった、と気付くと割合ひどい話が書いてある……と言いたいところだがやっぱハチャメチャに笑えるのがベルンハルトのいいところですね。何なんだあのチェコスロヴァキア襤褸のくだりは。同性愛者に同情的な目線を持っているようで虚仮にしているようにしか読めないという点では『ヴィトゲンシュタインの甥』なんかに通ずるものがありますね。ほんとにベルンハルトって骨の髄からクソ野郎だったんだろうな〜。

 

2冊め トーマス・マン魔の山

 どこに真面目に読む要素があるんですか? と思うくらいスケベなことしか起こらない朝の連続ドラマ小説の趣があり、よくこの内容であの厚さの小説を書いたなと感動した。ギムナジウムにいた美少年に借りた鉛筆(自覚的に男根のメタファーをやっているとしか思えない)の削りカスを後生大事に取っておくという限界極まりない挿話から話が進んでいくのだが、残念ながらこれは魔の山』このシーンがキショい!ランキングでは下位の方。いや、上巻のエッチな本をサナトリウムのみんなで回し読みするくだりで本を水没させて止まってるんだけど、その間にもレズビアン女教師言葉責め回とか主人公が懸想してる人妻の裸婦画を書いた医師に延々皮膚と解剖学について聞き込む話とかがありましてね、あの、毎朝これを通勤中に読んでたんだけど、何? 二度と私の前でこれをドイツ文学の金字塔みたいに言わないでほしい……

 いま読んでる本が終わったらまた登山します。

 

3冊め『機龍警察 白骨街道』

 ここまでのやつを一切読み返してなくても何となく読めてよかった。

 

4冊め『インタビュー・ウィズ・ザ・プリズナー』

 まだ美しく頑健な異父母兄(?)が出てきた(い つ も の)(big shita red)ところまでしか読んでいないのですが、『開かせていただき光栄です』『アルモニア・ディアボリカ』にあったあの恐ろしいまでの軽さは今のところちょっと影を潜めているかなと思います。開かせて〜の解剖ソングとかアルモニア〜の音階トリックとか震えましたよね、あっそれ…やっちゃいます?的な感じで。これからどうなっちゃうのかな〜!?

 

読みたい本

 Kindleで買ったアポリネールの短編集

 ジョイス・キャロル・オーツ『生ける屍』(もってない)

 ベルンハルト『推敲』(買ってない)

 小説の資料をね……読まなきゃなって思ってるんですけどね……資料ってどうやって探したらいいんだろうってなっています。もう2〜3年ぐらいなってる気がする。南北戦争後のアメリカ(特にモルヒネ/ヘロイン周りとヴォードヴィルについて、それからエミリ・ディキンソン)と禁酒法ギャング(これはそんなに具体的にこれというネタは浮かんでない。映画はもう皆川博子がやってしまったので絶対手を出したくないけど、そうなるとオペラ……?)。あと世紀末のオーストリアの湯治場とブラームスについて。