20211022 薄明るい昼下りに

 朝起きて、異様に頭が軽い、と驚く。気温が下がってから常に、靄がかかったような気分で生きていたのに。ブラインドの隙間からからりと晴れた空が見える。

 私はそんないい天気にもかかわらずKindle UnlimitedでBL漫画を何冊か読み、シャワーを浴び、洗濯をしてから友人たちとランチをした。モロッコ風肉団子のタジン蒸し、紅玉のタルト。どちらも絶品。

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 整体で肩を回す運動を勧められたという友人のために公園でバトミントンをした。

 

 近所の焼菓子屋さんに行って、マドレーヌやフィナンシェを5個くらい見繕って買った。こちらの目を見もしない接客が心地いい。

 この町では客の目を見ない店こそが良いものを売っている…と思うことが多い。例外もたくさんある。でも、この街のいい店は決まって、外を通る人から敢えて視線を遮るような店、店主が嘲るような目でこちらを見てくる店…だと思う。

 そういう店のひとつで私は、たまに来ては何も言わずに焼き菓子を大量に買い込む不気味な客をやっている。

 店を出るころにはだいぶ日が傾いていて、薄明るい、という表現しかできない様子になっていた。

 日陰とも日向ともつかない薄明るい通りを歩く人々は、みな死人のように見える。川べりまで歩いていってもうそ明るくて、対岸にいる人々はみな生きていないように見える。f:id:salmon_butter:20211022224222j:image

 こういう日は決まって、元気でなくていい、死んでいてもいい、と赦されているような気がする。うれしいような、物悲しいような気持ちになる。

 カーディガン1枚ではすぐに寒くなってしまって、家に帰る。

 

 夜は友人と焼き鳥を食べた。

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